ロボット競技を通じた次世代STEAM人材の育成プログラム
FIRST Tech Challenge（FTC）は、米国に拠点を置くNPO法人FIRST（For Inspiration and Recognition of Science and Technology）が主催する、世界最大級の国際ロボット競技会です。現在、世界中から7,000を超えるチームがエントリーし、数万人の中高生が熱狂するこのプログラムは、単なる「ロボットコンテスト」の枠組みを遥かに超えた教育プラットフォームとして機能しています。
対象となるのは、中学1年生から高校3年生（グレード7〜12）の生徒たちです。彼らは約半年間という長いシーズンを通じて、エンジニアリングの基礎から応用、チームマネジメント、そして社会貢献活動に至るまで、実社会で求められる多様なスキルを総合的に学びます。FTCが提供するのは、競技の勝敗を超えた「生きる力」の育成であり、私たちNPO法人サクラテンペスタが目指す「未来に必要な人材」を輩出するための強力なエンジンとなっています。
特徴①：中高生が挑む本格的なエンジニアリング
FTCの最大の特徴は、教育用ツールでありながら、実社会のエンジニアリング環境に極めて近い技術セットを使用する点にあります。
「キットを組み立てて終わり」の教材とは一線を画す、創造性と技術力が試される場です。
- 3Dプリンターやレーザーカッター等を活用した部品製作
- 約45cm角のサイズ内で、自由にロボットを設計・製作
- 毎年9月に新しい競技ルールが発表され、3ヶ月でロボットを製作
本格的なプログラミング
- 世界中の開発現場で使われる「Java (Android)」言語を使用
- ロボットが自分で判断して動く「自動制御」にも挑戦
- 初心者向けのビジュアルプログラミング環境もあり、段階的に学習可能
2対2のチーム戦
- 毎試合、別のチームと「アライアンス（同盟）」を組んで戦う
- 作戦を立てる力、コミュニケーション力も重要
特徴② ロボット以外のスキルも身につく
FIRSTの創設者ディーン・ケーメンは、「More Than Robots（ロボット以上のもの）」という理念を掲げています。 FTCにおいて、ロボットを作ることは最終目的ではありません。
それは、生徒たちが自分自身の可能性に気づき、未知の課題に立ち向かう力を養うための「ツール」です。
獲得できるスキル（STEAM & Beyond）
参加者は活動を通じて、技術的なハードスキルと、社会で求められるソフトスキルの両方を実践的に習得します。
ビジネススキル: チーム運営資金の調達（ファンドレイジング）、広報・ブランディング、地域貢献活動（アウトリーチ）
ハードスキル: 機械工学、数学的思考、プログラミング、CAD（3D設計）、電子回路など
ソフトスキル: チームワーク、リーダーシップ、批判的思考、タイムマネジメント
特徴③：独自のコア・バリュー “Gracious Professionalism®”
FTCが他のロボットコンテストと決定的に異なる点は、Gracious Professionalism®（高潔なプロフェッショナリズム）という独自の倫理規定です。
Coopertition®（協調的競争）
フィールド上では激しく競い合いますが、一歩外に出れば、互いに部品を貸し借りし、技術を教え合い、助け合います。「相手を蹴落として勝つ」のではなく、「最高の相手と競い合ってこそ、最大の学びと成果が得られる」という考え方です。 この精神は、競争と協調が共存する現代社会において、イノベーションを起こすリーダーに不可欠な資質となります。
特徴④：教育・進路への強力なインパクト
FTCでの活動は、学校教育の枠を超えた「探究学習」の実践の場として、また将来のキャリアへのパスポートとして機能します。
「探究学習（PBL）」の実践
FTCには、教科書通りの正解がありません。与えられたルールの中で、チームごとに仮説を立て、実験し、失敗から学び、最適解を模索し続けるプロセスは、文部科学省が推進する探究学習そのものです。エンジニアリング・ノートブック（活動記録）の作成を通じて、論理的思考力やドキュメンテーション能力も飛躍的に向上します。
進路・大学入試での優位性
- 海外大学・奨学金: FIRST参加者を対象とした独自の大学奨学金制度（世界で総額8,000万ドル以上）への応募資格が得られます。
参加方法・お問い合わせ
FTCは、学校の部活動だけでなく、コミュニティベースチームとしても参加可能です。
「チームを立ち上げたい」「大会を見学したい」「メンターとして関わりたい」など、少しでも興味をお持ちの方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。
私たちサクラテンペスタが、皆さんの最初の一歩を全力でサポートします。
